【小説】水車館の殺人 〈新装改訂版〉【2巻/感想/ネタバレ】

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著:綾辻 行人

「この水車は、まるで……」
「まるであなたが住むこの家を、時間の流れに逆らって、この谷のこの空間に静止させるために動いている。そう見えます」

2008年4月刊行物。約3週間半の積み。半年振りの新刊。『暗黒館の殺人』4巻からは5ヶ月振り。そうか、新装改訂版は新作と平行して刊行されてたのか。

さて、仮面の当主と美少女が住まう人里離れた不気味な館。その館の壁面では巨大な水車がぐるぐると回っていて。
1年に1度その館に人が集まる日。それは1年前の惨劇を思い出させるもので……。

変な設計の館で起こる殺人事件というコンセプトだけを継続していくシリーズなんだろうと勝手に思っていたが、世界観どころか一部登場人物まで共有しているとはね。こういうの好きよ~!

今回は現在と1年前の過去のシーンを交互に描写する形での2軸進行となっている。この2軸進行も館シリーズのコンセプトになっていくんだろうか。
トリック的には意表を突かれるってことは無かったかなぁ。細部に渡って予想出来たわけじゃないが、開幕のバラバラ死体が正木じゃないってことや、過去と現在で藤沼紀一が別人ということはすぐに察せられちゃった。
当時としては斬新なトリックなのかと思ったけど、どうも大前提として読者にも推理出来るようなつくりにしていたみたいね。

意外だったのは水車そのものがトリックに関係無かったこと。てっきり水車の回転によって犯人や死体が移動したりするんだとばかり……。
そしてラストシーン、水車館で起こる惨劇を予知していたかのような絵の登場。どうした、急にホラーじゃん。こわ……。

燃:C+ 萌:C 笑:C 総:A

シリーズリンク
十角館の殺人 〈新装改訂版〉(2007/10)

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水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫 あ 52-19)

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