【小説】紅茶とマドレーヌ【感想/ネタバレ】

4758447217

著:野村 美月

「大人になったらね、愛されるよりも、愛するの。家族や、友達や、仕事や、場所や趣味でもいいわ。自分から愛するの。そうしたら世界が愛するものでいっぱいになって、毎日楽しく過ごせるでしょう?」

ハルキ文庫2025年5月の新刊。約4週間の積み。次々とレーベルを渡り歩いている野村さんが今度はハルキ文庫に登場。
40歳を過ぎて夫に捨てられた主人公、及川姫乃。突然放り出された苦境をはねのけて、英国式ティールームを開くことに……。

やはり本作も連作短編形式か。短編でないと書けないっていう体調はまだそのままなのね……。
『ものがたり洋菓子店』と同じく、お店を経営する人々を中心に取り巻く人々にもスポットを当てながらの群像劇的な仕上がりとなっている。

主要キャラが姫乃をはじめとした40過ぎの女性というのが本作独自の味付けね。
あの頃の輝きそのままを取り戻すことは出来ないけど、新しい居場所で新しい幸せを見付けられるっていうメッセージ性がとても良かった。何歳になったかじゃなくて、どう向き合っていくかが大切ってことだろうか。

姫乃達が悩みを解決していく過程がハートフルでなぁ。おじさん、こういう展開に弱いんですよねぇ。
一通りやることはやり切ってるので単巻完結でもおかしくないが、姫乃達の活躍をあと何冊かは読ませてもらいたいねぇ。

燃:A 萌:A 笑:C+ 総:A+

著者リンク
〝葵〟 ヒカルが地球にいたころ……①(ファミ通文庫、2011/05)
ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件(ファミ通文庫、2012/02)
吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる①(ファミ通文庫、2014/05)
陸と千星 ~世界を配る少年と別荘の少女(ファミ通文庫、2014/06)
アルジャン・カレール ~革命の英雄、或いは女王の菓子職人~〈上〉(ファミ通文庫、2014/10)
親友の彼女を好きになった向井弘凪の、罪と罰(ダッシュエックス文庫、2014/11)
下読み男子と投稿女子 ~優しい空が見た、内気な海の話。(ファミ通文庫、2015/06)
SとSの不埒な同盟(ダッシュエックス文庫、2015/07)
晴追町には、ひまりさんがいる。 はじまりの春は犬を連れた人妻と(講談社タイガ、2015/10)
楽園への清く正しき道程 0番目は北国産のツンドラ王妃?(ファミ通文庫、2015/11)
むすぶと本。 『外科室』の一途(ファミ通文庫、2020/06)
記憶書店うたかた堂の淡々(講談社タイガ、2020/07)
世々と海くんの図書館デート 恋するきつねは、さくらのバレエシューズをはいて、絵本をめくるのです。(青い鳥文庫、2020/10)
三途の川のおらんだ書房 迷える亡者と極楽への本棚(文春文庫、2020/12)
ストーリーテラーのいる洋菓子店 月と私と甘い寓話(2020/12)
ビストロ・べーテヘようこそ 幸せのキッシュロレーヌ(角川文庫、2024/12)

4758447217
紅茶とマドレーヌ (ハルキ文庫 の 1-1)

コメント

タイトルとURLをコピーしました