
著:羊 太郎 イラスト:三嶋 くろね
「私の命の炎は燃えている。この灯火が消えない限り、貴女達に敗北はあり得ない」
2025年7月の新刊。約1週間半の積み。4ヶ月振りの新刊。『これが魔法使いの切り札』4巻からは隔月刊行。
カクヨムネクストで連載されていた番外編が晴れて文庫化。10周年記念として、予想外に人気が出たイヴを主人公にしたスピンオフが登場である。
タイトルの「正典」は「カノン」と読みます。
大戦後、アルザーノ帝国の復興に尽力していたイヴ。ある日突然、全ての権限と役職を剥奪の上、放り出されてしまう。
下されたのは女王陛下からの勅命。向かうは崩壊寸前の隣国、レザリア王国で……。
『ロクアカ』で今まで一人称文体のシーンってあったっけな。今作は主にイヴの一人称視点になっている。
イヴはレザリア王国で出会った黒い翼を持つ3人の少女達の教官を務めることに。3人の少女達の中に銀髪の子がいるのは三嶋さんの接待なんだろうかw
良い銀髪キャラ用意しときましたんで!みたいな。
そんなことになれば勿論グレンのことを思いさずにはいられないわけだが、アイツ呼ばわりでグレンの出番は無し。ただ、思考がかなりグレンに毒されていることが判って面白いw
うーん、イヴの魅力はグレン相手にツンツンしているところなんだけどなぁ。
今回はほぼずっと頼もしい姉御としてのイヴばっかりなのが惜しい。
レザリア王国の法力や神の設定ってキリスト教ベースなんだけど、こんな冒涜的な描写にして大丈夫?こういうのって結構肝要なんだろうか。
いやしかし今作のイヴ、ずっと強いままだったな……。もうちょっと苦戦する展開があっても良かったのでは。
これ1冊できっちり完結しているね。うーん、イヴを主人公にして、女の子だけの小隊を指揮する教官ものがやりたいというコンセプトははっきりしてるんだけども、『ロクアカ』本編の劣化コピーになってしまってるんだよな……。『ロクアカ』というタイトルの地力があるから、それでも一定面白いは面白いんだが……。
既存キャラがほぼイヴだけというのがなぁ。クセがつよつよの特務分室って設定があるんだから、そっちを掘り下げりゃ良かったのに。アルベルトが無双するとか、バーナードがアホみたいに暴れ回るとかさ。イリアにイジられまくるイヴももっと見たい。
それと何回か言ってるが、マジでいい加減『ロクアカ』に続く柱となるシリーズを作らないとやべーって。『ロクアカ』に縋ってるような現状はよろしくなかろうて……。
燃:A 萌:A 笑:A- 総:A
シリーズリンク
・ロクでなし魔術講師と福音後記(2025/03)
著者リンク
・これが魔法使いの切り札 4.蒼穹の剣士(2025/05)
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